
WHO は障害調整生存年(早世による生命損失年数+障害による相当損失年数)を用いた疾病や障害による社会負担度を算出し,1990 年には 4位のうつ病性障害が 2020 年には 2 位,2030 年には 1 位になると予測している(一部抜粋) 引用元:抑うつ改善に及ぼす運動の効果
世界規模で鬱(うつ)が増え、2020年には精神疾患病の中でも2位になると予想されるくらい鬱は拡大しつつあります。
最近では、当たり前のようにまわりの知り合いからも「鬱」という言葉を聞くくらいポピュラーな病気になりつつあることも実感しています。
鬱(うつ)と筋トレの関係性については、かなり昔から持論を唱える方がいらっしゃいました。

筋トレしてテストステロン(幸せホルモン)だしてればオッケー!
はたして本当にそうなのか。
今回、参考にした論文はこちらになります。
論文を読んでいくと、筋トレ(中強度程度)には鬱(うつ)を改善できた研究結果があるようです。
2012年に日本うつ病学会が「大うつ病性障害の治療ガイドライン」を発表し、その中でも「運動治療」を紹介しています。
日本では、中強度の筋トレや有酸素運動は、「鬱に効果がある」という方向性で考えられているようです。
では、【どの程度の「運動治療」が鬱(うつ)に対して効果的なのか】ということを論文をもとに紹介していきたいと思います。
鬱に筋トレは効果的だった!「効果的な運動方法やトレーニング時間」

先ほどもご紹介したように、中程度の筋トレや有酸素運動が鬱(うつ)には効果がみられるという見解になっています。
軽症うつ病患者に対する薬物療法や精神療法の併用との位置付けではあるが「週 3 回以
上,中等度の負荷強度で一定時間継続すること」(一部抜粋) 引用元:抑うつ改善に及ぼす運動の効果
軽い症状の鬱(うつ)患者を対象にした研究では、薬物療法と共に運動療法を同時に行うことで効果があるという様にガイドラインには記載されているようです。
これは日本の「治療ガイドライン」に記載されているもの。
では、海外(イギリス)のガイドラインも見てみましょう。
「専門性を有する指導者の下で,週 3 回,1 回45 〜 60 分間,10 〜 14 週間(平均 12 週間),グループにて実施すること(一部抜粋) 引用元:抑うつ改善に及ぼす運動の効果
イギリスのガイドラインでは、持続的なうつ病の方から軽~中程度の症状の患者を対象にした「運動プログラム」を紹介しています。
どちらのガイドラインを見ても、「運動療法」が治療プログラムに組み込まれていることがわかります。
運動の種類や負荷強度を詳しく明記はされてなく、大切なのは「持続的に運動すること」のようです。
この論文の中で注目すべきものがありました。
中高年女性に「ヨガストレッチ運動プログラム」を実施したところ、「抑うつ及び睡眠内容の改善がみられた」という報告があったこと。
そのことを統括した文面がこちら。
運動強度については,公衆衛生的に奨励されている中等度レベルのみならず低強度でも抑うつ改善には有効となりそうである。このような視点に立てば,ストレッチのような軽度の運動,あるいは呼吸法などの静的な所作にも注目すべきと思われる。(一部抜粋)
引用元:抑うつ改善に及ぼす運動の効果
ヨガは、ストレッチと呼吸法を同時に行うフィットネスです。
精神的にもリラックス効果があるといわれているので、鬱(うつ)の治療法としては相性がいいのかもしれません。
ヨガの1回のプログラム時間も約40分間というのも相性がいい理由とも考えられます。
今まで見てきたことをまとめると、
- 週3回、1回45~60分間の運動
- 海外の治療ガイドラインでも「運動療法」を進めている
- 軽い運動でも抑うつ効果が期待できる
- 持続的な運動をする必要になる
そして、筋トレも「運動治療」として効果があるという様に書かれています。
この時点で、「筋トレは運動療法として鬱(うつ)の治療に効果がある」と言っていいのではないでしょうか。
これは私の実体験でもありますが、震災後に軽度の鬱になったことがありました。
その時は、家族が運動を進めてくれ、外出をしなくていい「筋トレ」をして気分がすこし晴れていくのを体感しています。
その後、「症状が良くなった」と家族から言われるまでに6か月かかりました。
もちろん今でも筋トレを継続しています。
私の場合、それから鬱(うつ)の症状がでることは現状まではありません。
私の実体験からも「筋トレは鬱に効果がある」と判断しています。
私の運動治療は筋トレでしたが、中には筋トレさえも難しい方もいらしゃると思います。
そこで、論文にも書いてあった「ヨガストレッチ」をオススメします。
【約10分】簡単に出来る「ヨガストレッチ」 無理なく短く行うこと!

こちらが論文内で紹介されてる「ヨガストレッチ」です。
自分の呼吸を感じながらヨガのポーズを行っていきます。
まずは、週3回くらい継続的に行ってみましょう。
ヨガストレッチならば、鬱(うつ)の状態で外出したくない時でも自宅で行えますし、ダンベルなどの器具も必要ありません。
「運動治療」としても効果があると考えられますので参考にしてみてください。
自宅で動画を参考に専門的な運動をすることができるサイトの活用もいいのかもしれません。段階を踏んで、次のステップに行けるようになったら参考にしてみてください!
筋トレを始めてみたい方はこちら!
筋トレ初心者のスタートアップガイド!10分でわかる筋トレ講座!
鬱になる可能性があるトレーニーの特徴!「運動依存」の可能性あり?!
どうやら、筋トレを継続的に行っている人も気分障害になる可能性があるようです。
「運動依存」とよばれる鬱に近い症状がでてしまう可能性があるとのこと。
運動の有効性に期待が高まる一方,過度な運動への依存が気分障害を惹起することも報告されている 28)。これは「運動依存」と呼ばれ,運動を習慣化した後に何らかの理由で 24 〜 36 時間程度運動ができない場合に,緊張感や抑うつ感が増加する現象とされている。運動には時として過剰な精神的負担をもたらす側面のあることも理解しておくべきと思われる。(一部抜粋) 引用元:抑うつ改善に及ぼす運動の効果
筋トレを継続的に行っている方は心当たりがあるのではないでしょうか。
- トレーニングを継続的に行っている人
- トレーニングを休んだ時に後悔の念を強く感じる人
- さぼった自分を責めてしまう人
筋トレをさぼった時に感じる喪失感や後悔などが、心に負担をかけてしまう場合があるということを理解しておくことも大切なのかもしれません。
心と体のバランスを上手くとり、日々のトレーニングに励むことが大切なんだと感じさせられます。
鬱と筋トレの関係性:まとめ
- 「運動治療」の一つとして筋トレは有効である
- 鬱には継続的な運動が効果的である
- トレーニングを休んだ時の喪失感から「運動依存」という気分障害に気を付ける
心と体を同時に鍛えることのできる筋トレや運動でも、心を苦しめてしまうことがあるということを理解しておきましょう。
そして、鬱症状に悩んでいる方、まわりに鬱の方がいる人は「運動すること」を何となく伝えてあげてください。
それが立ち直るキッカケになるかもしれません。
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